ニコラ・テスラ① ― テスラの海王星

最近ではテスラと聞くと、イーロン・マスクが創設したテスラ・モーター社を思い浮かべる人が多いと思いますが、この「テスラ」は20代にして交流システムを着想した不世出の天才、ニコラ・テスラの名からとったものです。イーロン・マスクをはじめ、Googleの共同創業者であるラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンも、ニコラ・テスラを敬愛していることで知られています。

今でこそテスラ社の存在もしかり、ニコラ・テスラの名前は以前よりずっと知られるようになりましたが、一昔前は典型的なマッドサイエンティストのモデルとして、一部のオカルトマニアや陰謀論者の間でのみ知られる存在でした。テスラが発明したという超破壊兵器をねらってアメリカ、旧ソ連、ナチス・ドイツなどの諜報機関が暗躍したという都市伝説が虚実まじえて語られ、ミステリアスなイメージを増幅させていきました。しかし、現在私たちが使っている100Vの交流電気、洗濯機、冷蔵庫、エアコンから電車や電気自動車にまで使われている交流モーター、蛍光灯や水銀灯、ネオンサインなどの放電照明、無線電信、電子レンジ、ラジオ、テレビのリモコン、車の電子キー、航空機やロボットの無線操縦、ワイヤレス給電システムなどは、いずれもテスラが発明したか、あるいはその原理や基礎的なアイデアを提供したものなのです。

近年、テスラは自然エネルギー研究の祖としても注目されていますが、それは一世紀以上前にエネルギー資源の枯渇を憂え、風力や太陽熱、地熱などの利用を具体的に提案していたからで、人工衛星で太陽光発電した電気を地上に送する「太陽発電衛星」のアイデアも、テスラが先駆者だとされています。

テスラが19世紀末を中心に活躍した発明家だったことを考えると、3世紀をまたぎ現代の最先端テクノロジーに直結するというのは、かなりすごいことですね。

テスラは蟹座太陽に魚座海王星のトラインを持っています。海王星は境界線を無くしてゆく天体ですから、現実の世界と夢の世界の境界をあいまいにしてゆくため、嘘か本当か分からない怪しげな雰囲気というのは海王星の象意です。魚座の支配星は海王星ですから、テスラは特にこの海王星が象徴する要素を多く持つことになります。

海王星の要素の一つに、イマジネーションがあります。驚くべきことにテスラは世に知られる多くの発明の着想を得てベースの図面を作るまで、かなり詳細な部分に至るまで、脳内のイメージで起こしていたのです。実験をして試行錯誤をして、というよりは、ある日突然インスピレーションとして、親友と公園を散歩していたり、自然に触れているときに発明の元が突然降りてくるわけです。

「まずは頭のなかに直流機械を描き、それを駆動し、電機子の電流変化を観察していった。それから交流機械を思い浮かべ、同じように電流変化の過程を調べた。次いでモーターと発電機を含むシステムを視覚化し、さまざまに動かしてみた。私が見ていたイメージは完全に現実的で明瞭だった。」この心を鼓舞する一節をそらんじるにつれて、アイデアが稲妻の閃光のように訪れ、たちまち真理が明かされた。Nikola Tesla, My Inventions, Electrical Experimenter, 1919

この直観・イメージ能力によって多くの発明を生み出しましたが、魚座の支配星でもある海王星は自己犠牲などの象意も持っています。テスラの社会的功績や名声がうやむやになってしまった代表的なエピソードを見てみましょう。

  • エジソンに直流発電機の改良計画を提案し、エジソンは5万ドルのボーナスを約束するが、テスラが計画を完成させてもエジソンは5万ドルどころか1セントも支払わなかった。
  • 発明した交流装置から25万ドル、プラス1馬力あたり2.5ドルの特許料が支払われる契約を、テスラとの契約を切れと投資家からの要請で窮地に立たされた親友のために、その特許を破り捨て放棄した。
  • テスラの回転磁界の発見をガリレオ・フェラリスが考案したかのように専門誌に掲載され社会認知されてしまった。(フェラリス自身もテスラは自分よりはるかに進歩している、と述べているに関わらず)
  • テスラの交流システムの発明を、あたかもドリヴォ・ドブロヴォルスキーが交流システムを完成させたかのように訴え、裁判では勝訴するがこれによりイメージが著しく傷つけられ晩年にも影響する。
  • ラジオの発明について、アメリカでは事後の裁判によりテスラの先行特許が公式に認められた。しかしこの判断は特許上の問題として扱われ、大々的に報じられることはなかった。そのため、イギリスを含む多くの国で、マルコーニを発明者とする一般的な認識が覆されることはなかった。

なんだか、ちょっと残念過ぎる顛末ではないでしょうか。テスラの出生図では、社会的地位や成功・発展を表す木星や土星が太陽と切り離されてしまっています。通常なら数々の発明は社会に認知され、特許などを取得し、それが資金になるという流れとなるはずが、テスラの場合はその時代における承認(土星が象徴する30年くらいの社会基準)をすっ飛ばしてしまいます。それゆえに一度時代からその名を消し、100年以上経ってから姿を現す形になってしまうのかもしれません。

参考資料:[知られざる天才 ニコラ テスラ] 新戸雅章 著

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