ジェームズ・キャメロン①  究極に向かう魚座の月

今回から続く記事のテーマは、映画界のカリスマ監督・ジェームズ・キャメロン。残念ながら出生時間は分からないので、彼の惑星の入るハウスや正確な月の位置については分かりません。出生時間が不明の場合、月の度数がおよそ前後6度ずつに振れる可能性があります。彼の出生日では月が示す心は物事の終わりと始まりに関係する春分点に向かう魚座の終わりごろにあり、世の中の理不尽さや説明のつかない究極的な事柄に向かう傾向が出てきます。

ジェームズ・キャメロンは1954年8月16日にカプスケーシングで生まれました。当時、父フィリップは、製紙工場で電気技師として働き、母のシャーリーは主婦でしたが芸術家としても活動していました。母は息子の芸術的な面を応援し、若きジェームズが描いた絵を数点、地元のギャラリーで展示したりしています。この母の影響で、キャメロンは生涯をとおして自立した女性に惹かれる傾向にあり、映画のなかの女性キャラクターも自立した激しい性格を持っています。

男性のチャートの中の女性天体は妻や母、恋人などを象徴します。女性の自立は月・天王星によく現れますが、出生時間をちょうど12時頃と仮定した出生図だと、月と天王星が水のサインで協調し、感情の分析能力に優れる傾向が出て、タイタニックのような情緒的な映画の制作とも符合します。水のサインの感情は天体が協調しすぎると同化しすぎて外へ表現されにくくなりますが、蟹座の天王星は同化することを嫌い冷静に感情を分析します。彼はタイタニック撮影のための海底調査で朽ちたタイタニックを目の前にして、海底で亡くなった人たちの感情に思いを馳せました。

「そこにただ座り、僕は泣き始めた。海底探査のことや自分が見たものすべてを考えながら。あのとき僕は技巧的な防御をせずに、激しい感情に圧倒されるがままになっていた。そのときに気づいた。これまでのアプローチは間違っていたと。一番大切なことは、おそらくこの撮影よりももっと大切なのは、客船のもつ感情的な意味あいをとらえることだ。そこで何が起こったか、そして乗客はどうなったのかということをとらえることだと思った。」

また、ジェームズは10歳のとき、核兵器が人類を焼き尽くす可能性を知ります。カレッジで物理を勉強しているとき、物理学的な観点から見て、核や核戦争について、何が行われているのか、深く理解していましたが、それを元に非核に対するメッセージを自身の制作する映画に挿入させています。

残念なことに今現在も実際に戦争や紛争はあちこちで起きており、世界は核の脅威にさらされています。また、最近ではAIが企業を攻撃するなどの問題も表面化しており、実際にはありえないエンターテイメントとしてのSFの枠を超えて、まさに起こりつつある現実に近くなってきています。人間とAIやコンピュータの立ち位置は今後どのようになってゆくのでしょうか。

ChatGPTが2022年に発表される何年も前に、ジェームズはトップクラスのAI研究者たちの集まる会合に呼ばれます。科学者が「我々の最終目的は、簡潔に言えば、人間を創り出すことです」と発言したことに対して、ジェームズが手を挙げ異議を唱えると周囲から笑いが起こります。彼が有名なSF映画監督だからでしょうか。「人間同等の利口な機械が人間に反旗を翻す危険性がないとは言えないでしょうから、そのような事態を防ぐためにどんな対策をお考えですか?」と訊ねると、再び会場で笑いが起こりますが、2026年8月現在では、笑えない事態になっているのは周知の事実です。ジェームズは続けて言います。「人工知能が人間の命令に背き、こちらの計画に対抗する戦略を講じないとは限りません。最悪の事態を予防する策にはどのようなものがありますか?」と聞くと、科学者は答えます。「至極簡単ですよ。ロボットに目標を与えればいいだけ。やり遂げたいと思わせる目標を機械に持たせ、それに集中させるんです」と。ジェームズはそれに返します。「なるほど。ですが、それは別に目新しい考えではありませんね。我々はすでに同じ考えを何千年も持ち続けています。名前もついていますよ。“奴隷制”っていうんです。人間並み、もしくはそれ以上に賢くなった機械が、どのくらいの間、奴隷でいたいと思うでしょうか?」科学者はこれに答えられず黙り込んでしまったようですが、ジェームズの先見の明と深い洞察には驚くべきものがあります。

そんな世界の終わりを見つめる魚座の月を持つ彼は、重いテーマを扱いつつ茶目っ気も忘れていません。映画「トゥルーライズ」の最後のシーンなどにアメリカの領土内で核兵器を爆発させるシーンも挿入しています。この作品は、まじめでつまらない亭主が実は凄腕のスパイだったという夫婦の関係を扱ったコメディで、1994年の世界興行収入ランキング3位、興行収入は約3億7,890万ドルというヒット作となりました。では、当人の夫婦関係はどうだったのでしょうか?

出生図において、二人の女性像がかみ合わないチャートを持つ彼ですが、2026年現在の妻、スージー・エイミス(映画「タイタニック」老いたローズの孫娘役)に至るまで、5回の結婚をしています。2人目の妻、ゲイル・アン・ハードは「ターミネーター」を共同で制作していますが、「ターミネーター2」の制作時には制作期限やコストなど製作指揮をめぐっても、二人の間には多大なストレスがかかり、離婚に至ります。3人目の妻、キャスリン・アン・ビグローも前妻ゲイルと同様映画監督で、撮影現場で知り合い結婚ののち、ジェームズが脚本・製作を務めた「ストレンジ・デイズ」を制作しますが、短い結婚生活ののち離婚。4人目の妻は「ターミネーター」で世界を救う救世主の母役のリンダ・ハミルトン。彼女とも撮影を通して関わりを持ちますが、ジェームズが「タイタニック」撮影で多忙を極め、新婚旅行すら行けない状態が続きます。そのうちに出演者である現在の妻スージーとの浮気が発覚し、離婚。

彼の出生図の中の蟹座天王星は、家庭に憧れ、家庭を必要としても無意識に家族と距離をつくってしまいます。家庭が二の次になるほど仕事に没頭してしまう傾向と、今まで結婚した妻たちにも、自身の女性像に不協和音がありなかなか長続きしない傾向が出ていました。彼は「僕がいつも惹きつけられる女性たちは、ホントは僕のことをまったく必要としていないんだ。」と言っていますが、そのあたりが自分では無自覚になってしまうのも天王星の特徴です。

参考資料:[ジェームズ・キャメロンのタイタニック] ジェームズ・キャメロン著 「映画と人生」ジェームズ・キャメロン著 [SF映画術] ジェームズ・キャメロン著

  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次