今回テスラの星々を追ってきて、最後に交流特許取得日のチャートを出そうと思いました。しかしテスラに関する情報には、自伝や伝記、ネット上での特許取得日など資料ごとに食い違いが多く見られます。そのため今回は、ブレのない米国市民権取得日の三重円チャートを取り上げることにしました。
発明家 ニコラ・テスラが生まれたバルカン地域は、当時オーストリア帝国(現・クロアチア)の支配下にあり、民族や政治の緊張を抱える不安定な地域でした。セルビア系の家系に生まれたテスラにとって、出身や民族よりも能力によって評価される社会は強く惹かれるものだったでしょう。急速に産業化が進み、発明家が活躍できる土壌を持っていたアメリカは、彼にとって理想の国として映っていたに違いありません。1891年にアメリカ市民権を取得した出来事は、単なる法的手続きというだけでなく、テスラが発明家として生きる国を選び、新たな人生を歩み始めた象徴的な出来事でした。待望の市民権を獲得した移民の発明家は、これをいかなる科学的栄誉にも勝る喜びであると語っています。
テスラ アメリカ市民権取得日 1891年7月30日

この日は、テスラの出生図の太陽・海王星トラインの上に木星が重なっています。海王星は夢を象徴しますが、夢が着地して現実化したような配置ですね。また、トランジットの太陽にテスラの木星がトラインとなり、これに海王星・冥王星・月が関わってソフトの小三角を形成しています。先ほどの太陽・木星・海王星にさらに冥王星が加わり、夢の国・大国アメリカでの再出発という雰囲気です。このあたりは、自由の女神像のあるエリス島をイメージしてしまうのは私だけでしょうか。
出生図の太陽に進行図の月が対角にあり、プログレス満月です。社会的に成功や積み上げてきたものが成果として表れ、目標が達成されやすい時期にあります。
それからテスラの出生図の水星に、トランジットの水星・天王星と進行図金星が関わり、ソフトの小三角を形成しています。また出生図の天王星にはトランジット金星がセクスタイル。水星は知性、金星は喜びや楽しみを表しますが、進行図とトランジットの獅子座には6天体が入り、国籍を取得できた喜びと、さらなる研究に邁進するテスラの意図がここから読み取れます。
この日を、テスラがアメリカ人として生まれた日として見た場合の出生図も見てみましょう。

出生図では激しく対立していた太陽・金星と火星・月が、金星を除きここでは協調しています。獅子座8度は「革命運動を広める人」で、これまでの価値観を破壊したい、日常から離脱する度数です。それがターゲットを定めて限界を突破する双子座9度の「矢で満たされた矢筒」と60度で関係し、次々に特許を申請する集中力を表しています。出生図で宙に浮いていた木星・土星がここでもオポジションで宙に浮いているのが象徴的ですね。テスラは無意識的に、当時の政府や社会の承認などを見ておらず、もっと長い時間軸でものごとを捉えていた人ですから、木星や土星をあまり必要としなかったのかもしれません。
テスラの人生を振り返ると、そこには常に既存の常識に挑み続ける強い反骨精神がありました。直流が主流だった時代に交流の可能性を信じ、理解されなくても研究を続け、誰よりも先に未来の技術を思い描いていました。彼にとって発明とは名声や富のためではなく、世界をより良く変えるための使命のようなものだったのかもしれません。アメリカという新しい舞台を得たことで、その情熱はさらに解き放たれました。社会の評価や時代の理解を超えて、ひたすら発明に生きたその姿勢こそが、今日まで語り継がれるテスラという人物の本質なのではないでしょうか。
参考資料:[知られざる天才 ニコラ テスラ] 新戸雅章 著 / [テスラ 発明王エジソンを超えた偉才] マーガレット・チェニー 著