J・P・モルガン⑤ ― ジョン・ピアポント・モルガン

先日WBSのニュースで、米銀JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者の「ゴキブリは他にもいる」という言葉がタイトルになり、現在の浮足立った投資市場で急成長するプライベートクレジットに警鐘を鳴らしているというニュースがありました。見えにくいリスクと過度な楽観が積み上がれば、後で代償を払うかもしれないというものですが、まさに100年以上前のモルガン商会が向き合った信用不安を思わせる論点でもあります。現在の私たちがニュースで聞く投資銀行の帝国を築いたジョン・ピアポント・モルガンはどんな人物だったのでしょうか。

ピアポントの太陽は牡羊座2ハウスにあります。創始者ピーボディ、父ジューニアスから受け継いだ商業銀行をピアポントは質的に別次元ともいえる金融帝国へと作り変えたのです。父の時代ではロンドンにおけるアメリカを代表する名門国際商業銀行で政府債引受、貿易金融、国際信用供与が中心でした。1870年フランス公債発行で 1,000万ポンド(およそ3,000億円前後)という当時では巨大な資本を扱ったわけですが、ピアポントの代ではモルガン人脈の取締役ネットワークが47社・総額100億ドル(約50兆円)規模に及びました。彼は巨大銀行の編成、鉄道再編(モルガナイゼーション)、国家信用の支援、1907年金融恐慌への介入、産業統合を通じて、世界金融において銀行の定義を変え数々の新境地を切り開いたのです。牡羊座はまだ世に存在しないものを生み出すサイン。牡羊座の突き進む荒野に道が出来ていくように、まさにそのままの人生を歩むことになります。

ピアポント・モルガンの一生のうちでは、慣習や予定調和を嫌う牡羊座らしく事業の成功が拍手よりも物議をかもす例がよくありましたが、山高帽に黒い外套、磨いた靴の先端まで届く灰色のズボン姿、太鼓腹に懐中時計の鎖を垂らした、めかし込んだ恰幅のよいピアポントは、牧歌的だったアメリカを脅かす産業界巨大化の中心人物、新興の財界巨頭を体現していました。彼のやることなすことすべてが書き立てられ、はやし立てられて、そして神話と化したのです。

信用が膨張し、市場が楽観に傾く時代には、必ずその裏側の脆さを見る者が現れます。現代のプライベートクレジットをめぐる論争も、モルガンの時代を遠い昔話にはしていないのかもしれません。しかし、こうした巨大な創造力は常に集中と支配という影も伴いました。救世主と呼ばれた同じ人物が、なぜ「ウォール街の王」と恐れられたのか。出生図の中にあるその両面を追っていきましょう。

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